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業務委託契約書

フェアではない取引は、デザイナーさんのやる気に水を差し、結果的に、作品のクオリティに悪影響を及ぼす。
謝礼の支払いはもちろんのこと、デザイナーさんに理不尽な経費の負担をかけることがないよう、業務委託契約書を作成して、お金、権利、責任の所在と範囲を明記しました。

実情?

ルミさんとロゴ制作に関する打ち合わせをしていて感じたのは、とにかく話しやすいということでした。
私が「4次元話」と呼んでいる創作にまつわるあれやこれやは、抽象度が高く、多分に感覚的な話になるため、「話せる」人は、多くはありません。
そして、この「話せる」という要素が、この種のお仕事を依頼する場合に、どれほど重要であることか。

実務の話を始めるにあたって、私はまず、①ロゴデザイン制作のお値段と②業務委託契約書のテンプレートを持っているかどうかの2点を確認しました。
お値段に関しては算出方法を決めているとのことでしたが、契約書に関しては、これまで作成したことがなく、テンプレートもお持ちではないとのこと。
これには、かなり驚きました。

前職では、あらゆることを契約書に明記するよう仕込まれました。
契約という形を取らない場合であっても、身を守るため、会社を守るため、後で言った言わないの水掛け論になるのを防ぐため、とにかく記録を残せという指導が徹底されていました。
そして、前職では、我々が受託者の立場でしたが、受託業務は大変細かくリスト化されており、その各々について単価が設定され、プロジェクト全体の請求金額見積もりを作成する手順がシステム化されていました。
プロジェクト遂行課程で、当初の予定にはなかった仕事が新たに発生したり、見積もり時の前提となったユニット数の増減が発生するのは普通のことです。
そのため、こうした変更が発生した場合の見積金額の変更についても、文書化された手順とシステムがありました。
なので、今回のデザインのお仕事に関しても、受託者であるデザイナーさんの方で、そうしたものをお持ちだろうと思っていました。
しかし、どうも、ルミさんのお話を伺う限りでは、大手のデザイン事務所を除いて、個人で活動している方の場合、カッチリした契約書など作らないことが多いのが実情なのかもしれないと思いました。

蓄積するモヤモヤの怖さ

インターネットで検索すると、すぐに、いくつかの典型的な委受託契約のひな形を見つけることができ、それを元に、ルミさんとの契約書案を作成しました。
非常にシンプルなひな形だったので、特に経費の負担に関して、以下のような点を追加する必要がありました。

  1. 交通費、打ち合わせ食事代等の扱い:すべて委託者負担、交通費は実費の立替精算で処理
  2. 材料費、印刷代等の扱い:ロゴの制作過程で消耗する資材類(下書きに使う半紙、墨汁、印刷用紙、プリンターのインク代等)について、実費を算出するのが難しいので、契約金の〇%を、材料費として委託者は別途支払う

この時に考慮に入れていなかった経費に、「通信費」がありました。
打ち合わせの他は、すべてメールのやり取りになるので不要と考えていましたが、後日、ロゴの印刷をめぐって、ルミさんと印刷会社さんとで直接郵便物をやり取りするケースが発生しました。
これに関しても、郵送料の請求は、すべて委託者の私のところに来るように手配をしました。
ルミさんからは、「細かい配慮」についてお礼を言われましたが、こうした「細かい」(…のでしょうか…)点をなあなあで流してしまい、結果的に、デザイナーさんが本来手にするべき対価が目減りする事態になることは、避けるべきと思います。
それが、デザイナーさんのやる気を挫いて、結果的に作品の出来に陰りが生じるのを防ぐためです。

「自分がつくったものに、自分で納得できる」
というのは、何を仕事にしているかに関わらず、多くの人にとって心情的に大切な点だと思います。
委託者が支払いにだらしがなかったり、必要な経費をケチったりすると、仕事をする人の気持ちの中にモヤモヤが生じます。
そのモヤモヤのせいで、やる気が不完全燃焼を起こし、本人にとっても愛着を持てない成果物が出来てしまう。
そして、
「いまいちの出来の仕事をしてしまった」
という新たなモヤモヤが生まれる。

納品した成果物に対して、契約通りの対価が支払われたが、この「モヤモヤ」の分、自分の方が割を食っている感触がある。
こういう「モヤモヤ」を生じさせる相手と、再び一緒に仕事をしたいとか、こういう相手のためにいい仕事をしたいとか思うでしょうか。

対価は、「恙ない状況で普通にする仕事」とイーブンであって、モヤモヤという余計な心情的負担を負わせた時点でイーブンではなくなり、受託者に「割を食っている」感を抱かせることになります。
割を食ってると感じている相手に、ポテンシャルをフルに発揮して、最高レベルの仕事をすることを期待するのは、非現実的だし、都合が良すぎると思います。
せっかく腕と才能を見込んで仕事を依頼するのだから、一片のモヤモヤもない澄み切った精神状態で仕事をしていただきたい。
そして、本人も納得できる成果を出せれば、その経験と自信と誇りが、その後のキャリア構築にとってもプラスの働きをすることになるでしょう。
というのは、結局のところ、キャリア構築にあっては、機会を自分からつかみに行くという行動を取れなければ何も始まらないし、機会をつかみに行くという行動に出るには、ある程度実績という根拠がある自信と、それに煽られて生まれる根拠のない勢いが必要だから。

ああ、びっくりした

製品やブランドのコンセプトに関する情報提供をした上で、デザインのビジュアルに関して私がルミさんにお願いしたことは、以下の4つでした:

  1. 達筆感
  2. 「規格品」という印象を与えないこと。これは、顔と名前をストーリーを持つノート製品を作ることを考えれば、その製品に使われるロゴが無機質なものだと整合性がないからという理由でした。
  3. 一筆書きの濃淡をデザインのどこかに使って欲しい
  4. 正方形製品のため、四角を生かしたデザインであること

この注文をつけている間、私の頭の中にも、ロゴデザインのアイデアがいくつか浮かんできました。
しかし、提示されたルミさんのデザイン案は、嬉しい驚きそのものでした。
それを見て、
(あーー、やっぱり、私がイメージしていたものは、まだまだ規格品テイストだったな!)
と思いました。
そして、そのデザインの発想の源になった資料などもシェアしていただいたのですが、これがまた新たな嬉しい驚きでもあり、勉強にもなりました。

ロゴデザインのコンセプト詳細に関しては:
プロフィールページ

想拝

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