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何かを目の前に見せられて初めて、自分はこれが欲しかったのだと気付くことがあります。
ノート屋さんを始めようと思い立ったのは、500pxという写真愛好家のSNSのメンバーになり、自分のお気に入りの写真を集めたギャラリーを眺めていたときでした。

500pxのメンバーになる

500pxは、非常に質のいい写真が多いと聞いていました。
私がここのメンバーになったのは、自分の写真を載せるためという目的の他に、アニメーション作りの参考になる作品を発掘して、資料として収集しておくという目的がありました。

アニメーション作りは、私の最近の趣味の一つで、blenderという3DCGソフトを使ったショート・アニメーションを作っています。
2015年10月~2016年5月の間に3作制作して、2016年中に3本とも海外の映画祭で上映作品として選出されました。
アニメーション作品制作の過程で、日頃のインプットの蓄積がどれほど大事なことか、痛感しました。
私が制作しているものは、キャラクター・アニメーションではなく、アート・アニメーションとかアブストラクト・アニメーションと呼ばれているものです。
作品ごとに中心になるテーマがあり、そのテーマを表現するのにふさわしいアートワークを毎回新たに作らなければなりません。
その際、結局、引き出しの多さがものを言います。
そして、引き出しというものは、付け焼刃で増やせるものではない。

オーストラリアのキャンベラ・ショートフィルム・フェスティバルで選出されたアニメーション作品”HE CREATES…WE ASSEMBLE”スティルの1枚。「創造」するのは神の仕事であって、人間にできるのは「組み立てる」ことだけ、というジョージ・バランシンの言葉を映像化した作品。

制作過程でのあの不自由さから来るつらさを克服して、もっと自由自在に表現を選べるようになりたい。
そうした思いから、私は、あるルーチンを自分の生活の中に取り入れました。
「毎月決まった日に、フォローしているアート系ページに新しく追加された作品をすべてチェックし、ピンときたものを保存しておく」
というものです。
毎月この作業をして、ある程度数がたまったら、それまでに保存した作品を改めて全部見直してみる。
そして、その作品の何に自分は反応したのか、そのエッセンスについて考え、そのエッセンスに自分なりの方向性を与えて、参照した作品とは違うアウトプットを編み出してみる。
その表現が、これから作る予定のアニメーションのコンセプトに使えるかどうか検証する。
合いそうだと思えば、その作品の資料の一つとして、使用する音楽やほかの資料と一緒にまとめておく。
今考えているテーマとは合わないと思えば、用途未定の作品として、別に保存しておく。

500pxには、自分が毎月チェックしているアート系のページやサイトとは、また違った作品があるかもしれない。
そう考えて、500pxの世界を見てみることにしたのでした。

クフ王のピラミッド

500pxでは、投稿写真を、人物・風景・食べ物などのカテゴリーに分けて掲載しています。
その中で、私が特に興味を惹かれたのは、”abstract”というカテゴリーにある写真でした。
そのカテゴリーに掲載されている作品は毎日のように詳細にチェックし、気に入ったものを続々と自分のギャラリーに入れていきます。
そうしているうちに、自分のギャラリーに、Ken Lambrechtというアメリカのビジネスマンのものが多いことに気づきました。
Kenをフォローし、新作が出るたびにチェックしていたところ、ある日、彼が”Within“というタイトルの写真を発表しました。
暗い場所で、どこかに通じる通路のようなものが、四角く、鈍い黄金色に光っているシンプルな写真。
それを見ていて、私は、
「私だったら、この作品のタイトルを『クフ王のピラミッド』にするなぁ」
と思いました。

十数年前、エジプトに初めて旅行に行った際、クフ王のピラミッドの中に入る機会がありました。
がらんとした殺風景な場所でしたが、KenのWithinという作品を見たときに、そこで受けた印象をまざまざと思い出したのです。
クフ王のピラミッドの内部は、確か当時は写真撮影が禁止されていて、私が自分で撮った写真はありません。
しかし、クフ王のピラミッドを撮影したものではなくとも、あの場の空気感や、私があの場で受けた個人的な印象を、こうも完璧に表現してくれた写真作品に出会えたことに、驚きもし、また、深く感謝しました。
エジプトを訪れたのはかなり昔の話で、クフ王のピラミッドから受けた印象は、その後旅をして回った土地のより新しい記憶の中にすっかり埋もれていました。
それを、”Within”という写真が、「掘り起こして」くれた。

私は、その写真へのコメントで、Kenにこのエピソードとお礼を伝えました。
そして、自分のギャラリーに保存した”Within”を見つめながら、ぼんやりと、
「こういう表紙デザインのノートが欲しい」
と考えていました。

想拝

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